除虫菊【じょちゅうぎく】
和名:シロバナムシヨケギク キク科の多年草・英名はPyrethrum
原産国は地中海・中央アジアといわれ、セルビア共和国(旧ユーゴスラビア)で発見されました。この花は古くから殺虫効果があることが知られており、現在もケニアをはじめ世界各地で殺虫剤の原料として栽培されています。殺虫成分ピレトリンは花の子房に多く含まれています。
尾道市立美術館南側斜面
除虫菊の見頃は5月上旬~中旬です。
日本では弊社の創業者である和歌山県出身の上山英一郎(うえやま えいいちろう)が明治19年(1886)にアメリカのH.E.アモア氏から除虫菊の種子を贈られ、渦巻型の蚊取り線香を発明しました。 上山英一郎は和歌山県や広島県・香川県を中心とした瀬戸内地方、北海道など日本の各地で除虫菊の栽培を奨励しました。
第二次世界大戦前は盛んに生産され、日本から世界中に輸出されて産業振興に貢献しました。しかし第二次大戦後はピレトリン類似化合物のピレスロイドが殺虫成分の主流となり産業としての除虫菊の栽培は現在では終了しています。
(注 除虫菊は、そのままの状態では殺虫効果はほとんどありません)
~「しまなみ海道」除虫菊関連スポット~
除虫菊にゆかりのあるスポット「尾道市立美術館」「千光寺」、向島にある「亀森八幡宮(除虫菊神社)」、
因島の「因島フラワーセンター」、「馬神除虫菊畑」をご紹介します。
尾道市立美術館
白いじゅうたんの丘
(尾道市立美術館南側斜面)
尾道市は昭和56年(1981年)以来、KINCHOとともに、尾道市立美術館の南側斜面に除虫菊を栽培しています。5月上旬頃、畑一面に除虫菊が咲き誇るさまは「白いじゅうたんの丘」と呼ばれ、尾道散策百選のひとつとして美術館を訪れる人々に楽しんでいただいています。私たちは、この丘を次の時代の人々に伝えるべき尾道の風景のひとつとして、これからも守ってまいりたいと思います。
尾道市立美術館南側斜面
尾道市立美術館へのアクセス
JR尾道駅から東行きバスで「長江口」下車。
(ロープウエーで千光寺公園頂上)
■所在地
尾道市西土堂町17-19 千光寺公園内
TEL.0848-23-2281
千光寺
除虫菊の栽培を奨励した
上山英一郎
蚊取り線香や殺虫剤の原料となる除虫菊の種子を、日本に根づかせ栽培を奨励したのは、「KINCHO」の創業者 上山英一郎です。
1886年にアメリカの植物輸入会社社長のH.E.アモア氏から種子を贈られたのが、その始まり。研究を重ねた英一郎は、1890年、ついに世界で初めて棒状蚊取り線香、さらに渦巻き型蚊取り線香の開発に成功しました。
そして、日本各地で除虫菊の栽培を奨励。なかでも広島県・香川県を中心とした瀬戸内地方は、一大生産地に。第二次世界大戦前には世界中に輸出するほど生産量も増え、明治から昭和にかけての瀬戸内地方の産業振興に、大いに貢献しました。
地元の人々は千光寺公園内に上山英一郎の「頌徳碑」を、対岸の向島の亀森八幡宮には上山英一郎を祭神とした「除虫菊神社」を建立し、その功績を称えました。
上山 英一郎の肖像
「栽培の手引書」
「頌徳碑」
亀森八幡宮(除虫菊神社)
瀬戸内の除虫菊発祥の地で
祭られる「除虫菊神社」
毎年5月8日に営まれる例祭
因島フラワーセンター
日本一の生産量を誇った因島
因島フラワーセンター
フラワーセンター前の除虫菊の碑
昭和31年当時の除虫菊全盛期の風景
馬神除虫菊畑